「ひるね姫」映画レビュー(ネタバレ) 並走する夢と現実の間で

映画

夢で電話が鳴った瞬間、現実でも電話がかかって来てあわてて飛び起きる

そんな不思議な体験をしたことがある人は多いはず。

というのも、夢っていうのは人が起きる直前のほんのわずかな瞬間に見ているらしく、なんならもう「見る」というより頭の中に夢という記憶をスコーン!!と、アンパンマンの顔がスコーン!!と入れ替わる感じで挿入されている感じなんだそうだ。
きっと誰かから電話がかかってきて、ピロロロロと電話が鳴る、そのピが始まるあたりから夢を見始め、夢は高速で私たちの脳の中にありもしない変なお話を語り始め、猛スピードで電話が鳴るフィナーレにまで持っていくのだ。
だから夢でかかってくる電話が現実でもかかって来ていたり、誰かが夢の中でコンコンと玄関のドアを叩けば、現実ではアマゾンから本が届いていたりするという不思議な現象が起こるらしい。
要は夢と現実が並走しているのではなく、現実に合わせ、夢が猛スピードで追いつくみたいな感じ。

それにしても、電話や玄関のノックは夢とリンクするのに、可愛い女の子となんやかんや上手くいってキスする夢は全くリンクしないのはなんだか納得がいかない。
たまには夢に現実が追いつくときがあってもいじゃないかと思うんだけれど…

はい〜そんなわけでまさかの2日連続ブログ更新(スゴイ)!!

今日はいきなり夢の話なんかしましたが、なんでかっていうと今日見た「ひるね姫~知らないワタシの物語~」というアニメ映画に関して書こうと思ったからです。

じゃ、ぱぱっと概要を

「ひるね姫~知らないワタシの物語~」(2017年3月18日公開)
監督:神山健治
脚本:神山健治
原作:神山健治
出演(声):高畑充希、満島真之介、古田新太、江口洋介

神山監督といえばもはや日本アニメ界ではかなりの立場にいる人だと思うんだけれど、個人的に映画作品は今回の「ひるね姫」が初めて。
テレビアニメなら「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」とか「東のエデン」とかを見ていたような、いなかったような。でも両方とも面白かったな〜と、思うような思わないような。
なんでそもそもこの作品を見たかといえば、いつしか読んだ2ちゃんねるの創始者ひろゆきさんの本で紹介されてた、、ようなされていなかったような、その流れでFilmarksにマークしていてようやっと見るに至った、んだと思う。

全ての記憶が曖昧な状況で鑑賞したわけだけれど、ざっくり言うと基本的には面白く見られたし、何と言っても映画全体に掛けられた一つの仕掛けがしっかりとはまっていて、そこの部分はすごい構成力があるな〜なんて思う作品だった。

んで、その仕掛けってのは何かっていうと
寓話と(物語内での)現実のリンク。
である。
そしてこの作品、この仕掛けが抜群なのだ。

寓話とはなんぞや、といいますと

教訓的な内容を、他の事例にかこつけて表した、たとえ話。例:イソップ物語

Google検索最上位より

ってな感じ。
誰もが知っているところでいうと、「ウサギとカメのお話」だろう。
内容を説明するまでもないくらい誰でも知っている話だけれど、このお話はもちろん

ウサギまじ足はえーじゃん!!一見可愛めだけどあいつ足超はえーじゃんはんぱねぇ!!
亀もまじ普段全然動かないゆるキャラみたいな感じだけど超努力家じゃんマジリスペクト!!
あのレース展開はマジ神!!臨場感マジ!!臨場感!!


なんてふうにウサギの足の速さや、亀のゆるさや、ましてや白熱のレース展開に興奮してもらうための話でもない。
ざっくりいうと、どんなに才能があっても怠けずにやらないと痛い目見るし、才能がなくても真面目にコツコツやっていけばきっと上手くいくよ。
という一つの教訓を伝える話なのだ。
わかりきった話を文章に書くのがこんなにも恥ずかしいとは。

ほんで、この「ひるね姫」という映画は、すぐに眠ってしまう主人公の夢主人公の生きる現実の世界が並走して描かれる。
んで、雑に結論に行くけど、なんやかんやあって世界はピンチになる、んでなんやかんやで世界は救われる。
でも、もちろん「ウサギと亀のお話」ど同様に
わぁ〜世界救われたぁ、まじ感動〜なんて額面通りで見りゃ良いってもんじゃない。
というより額面通りでこの映画見てちゃいけねーんだ!!と誰もが気づかされる作りになっているのがこの映画の凄いところなのである。

夢の世界は機械仕掛けの世界、何もかもが機械で動き、人間は機械を作る工場で働くことによって生活費を稼ぐ。夢の中の主人公はこの世界の王の娘で機械に命を吹き込む魔法が使える女の子。

んで、現実の世界では設定が2020年の東京オリンピック開催がせまる夏。僕らの暮らしているこの世界となんら変わらない世界だけれど、一点強調して描かれているのが「自動車の自動運転」に関して。主人公の父はなんの変哲も無い片田舎で1人黙々と自動運転車の開発をしている。

ここまで書いただけでわかる人もいるかもしれないんだけれどこの話、一体なんの寓話になっているかというと
人間とAIテクノロジー
に関しての寓話になっているのである。
つまり夢の中での魔法は現実世界ではAIテクノロジーなのだ
この二つの関係性を見事に物語に落とし込んでいる。

一見ファンタジーにも見える夢の世界は、実はその夢々しい皮をはいでみると、現実の世界と変わらない。
確かに僕らは機械に囲まれて暮らしているし、僕らを囲む機械を作っているのもまた僕らだ。
しかし機械に魔法をかけるがごとく、機械にAIテクノロジーを搭載すればどうなるだろうか。
この技術を使えば機械が機械を作る時代もそう遠くない。
車を運転しなくても快適に車が自動で目的地まで運んでくれる。
夢の中の主人公が魔法で機械に命を吹き込むように、現実の社会でも機械にAIテクノロジーを加えることで機械は知性を獲得するのだ。

ただぼーっと見ているだけでも、きっとこの映画はこのリンク感に気づかせてくれる。
そこに変なほころびとか無茶がなくてすごくスムースに見ていられる。

物語が進むにつれ、どちらの世界でも「魔法反対!!」「テクノロジー反対!!」という風潮が生まれ始める。
でもそこで白黒つけずにこの映画ではしっかりと二つが共生する未来が見えてくる。
新しいものを恐れずに、且つそれに負けないように、協力して生きていけば、そこに新しい時代が生まれるんだという、まさに寓話のごとく教訓を与えてくれるのだ。

あまりに短絡的に教訓をまとめてしまったけれど、その教訓を額面通りに、はいそうですかと受け入れるのは難しい。
でも、俺の女と自分の車を呼ぶ走り屋や、銃を相棒と呼ぶような刑事のように
この映画の始まりでは思ってもなかった機械への感情が、ほんの少しだけ芽生える。
こいつ、俺の相棒!!と車のボンネットを叩くと、チカっチカっとヘッドライトを可愛らしく光らせる自家用車がいる未来も、結構悪くないだろう。

ここでディズニー映画みたいに機械があたかも人間のようなふるまいや顔つきをしないところなんかも割とリアリティあるというか、表現方法の一つとして良い気がした。
だってあまりに可愛いとね、そりゃそれでもうこれ人じゃん、みたいな。人作っちゃってんじゃんみたいな要らぬ感情すら芽生えかねないわけだから。

作風の割に意外にシビアなテーマだけれど、ラストは一気に爽やかな方向に持って行っている。
アニメだからこそ生まれる濃すぎにも感じるワンダーと、異常にまで感じる爽やかさが幕が降りる。
んなうまくいくかいなぁ〜と思う部分もあるにはあるけれど、でも、なんか悪くはないよなぁ。
と思わせてくれる。
んで、この映画の進むだろう未来も、「シンギュラリティ」「機械の奴隷」と言われるほど悪くはなさそうに感じさせてくれて、こんな未来であるべきだよなぁと、というか、これこそが僕らの目指すべきリアルなんだよなと、少しだけポジティブになれる。

とにもかくにも!!
寓話的な夢の世界と、現実世界の並走感が絶妙な作りで本当に構成力、というか話の出来の良さにすごく驚く一本。
夢パートを寓話として捉えさせる巧さがあるからこそ、現実パートの社会問題(というか人類問題?)がすごくリアルに感じられる。
だからラストにもアニメのワンダー感もありながら、現実からかけ離れすぎないリアリティが同居しているのだろう。

自分の夢の可愛い女の子とのワンダーな一時も、少しは現実世界に顔を出して欲しいものだけど。

Amazonで¥400で視聴可能!!
※レンタル期間は30 日間で、一度視聴を開始すると48 時間でレンタル期間が終了します。

はい、というわけでラストは関連作ご紹介。

まずはね本です。
これです。

「機械との競争」
来たるシンギュラリティ(技術的特異点)(要はAIの知性が人間の知性を超える時)は2045年なんて言われている。
「簡単なデータ入力なんて俺らがやって、顧客の要望もわざわざやりとりしなくてもデータから割り出せるんじゃい!!ぼけぇ!!」いきなり機械がそんなこと言い始めて、僕らのほのぼの会社ライフは突如終焉を迎えるかもしれない。
そのとき、ワレワレハドウスルノカ。
そう、まさに思考停止ワレワレハドウスルノカ状態に陥る前に読んでおくべき一冊。
自分も結構昔に読んだけれどなかなか面白かったし、なんせ装丁が凝っていて持ってるだけでワンランク上の人間になった気分になれる。

映画では2点ほど

映画『エクス・マキナ』予告編

「エクス・マキナ」
「ひるね姫」とは真逆で
あっちゃ〜もう人類ダメかも〜な話。あと映像と空間がめっちゃ綺麗。
本来はこういうシリアスな語り口の方が「人間とAI」テーマ作品はマッチするかなと思うし、あまりぱっぱらぴ〜なものばかり見ておくのもよくないかと思いとりあえずおすすめです。


映画『インセプション』予告編

「インセプション」
夢&現実物といったらやっぱりこれかなと。
正直自分はまだあんまりこの作品好きになれていないんだけれど(というかこの映画難しくないですか?本当によくわからなくなってしまう。)
「ひるね姫」のように二つの世界で表現したい事は何か?とかを分けて考えればもう少し面白く見られるのかもしれない。「ひるね姫」見てまず真っ先にこの映画見返してみようと思ったので一応おすすめさせていただきます。

はい、本日はこんな感じです!!

では!!

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